フェミニズムを、間違った人やダメな人を徹底的にうちのめす棍棒にしてしまった人達に思うこと

コロナ禍で世界的に大変な毎日が続いております。
生きる事への漠然とした不安を身近に感じる日々の中、フェミニズムを問題にし、議論バトルをしていたほんの2ヵ月前の頃を思うと、政治や社会システムが不完全ではあっても、人々が安全に暮らせていただけでも贅沢だったのだなぁとしみじみします。
最近は、もはやフェミニズムの話をする気もすっかり失せ、3d CGの勉強に加え、パンを焼いたり手作りマスク制作など、ステイホーム生活を地味に勤しんでいたわたしでしたが、岡村隆史さんの深夜ラジオでの発言に対するその後の騒動に対して、久しぶりに「黙っていられるか」という気分になったので、息子が寝ている隙に、ブログに思いをぶつけてみる事にします。

岡村さんの発言について、すでにご存知の方も多いので、詳細は省きます。
わたしの感想は、「これからお金に困って職探しするであろう人を自分の欲望を満たす道具としてしか考えていない、品性下劣な発言だなぁ。」でした。
そこに怒りを感じて批判する人の気持ちもよくわかります。
ただ、それは岡村さんのコアなファンや仲間が聴く深夜ラジオでの発言であり、一般的に不快に思うような人達には向けられていなかったにも関わらず、芸能人の不謹慎な発言を探して回って配信し視聴率を稼ぐ配信者によって拡散された様でした。
それなのに、怒りのあまりに、岡村さんのレギュラー番組であるNHKの「チコちゃんに叱られる」を降板しろ!と言う人も出てきて、ついにmetooを彷彿とさせる署名運動まで立ち上がり、今や、岡村さんは非道な罪悪人かの様にバッシングされています

岡村さんは、たしかにこれからお金に困るであろう人を喜ぶ不謹慎な発言をしたけれど、特定の女性に対して自分の役職を盾に「やらせなければこの世界で仕事をできなくさせてやる」と言い性加害を強要していませんし、スタッフとして雇った複数の女性に無理やり性的奉仕させ続けてもいませんし、酔って前後不覚な女性を持ち帰ってもいませんし、電話の受話器で殴ったり、家に押しかけ「抱っこして」と迫って訴えられた訳でもありません。
むしろ、コロナ禍が終息したら風俗に行きまくってお金を落とすと言っているので、セックスワーカーにはありがたいお客さんです。
彼のメインの仕事まで奪って社会的に懲らしめるほどの事でしょうか。
わたしには、ただ、ムカついた人を徹底的にいじめて楽しむ嗜虐行為にしか見えません。
そして、それをしたところで「お金に困って風俗の仕事を選択するであろう人」の現状は、何も変わりません。

岡村さんの失言に対しては、すでに相方の矢部さんがラジオに登場して岡村さんを公開説教しています。
おそらく、それまでの自身の女性差別的な発言に物申す人もいないまま50歳間際になってしまった男性にとって、本質を変えることは物凄く難しい事ではないかと思います。
また、この説教中に矢部さんは岡村さんに「結婚しろ」と言い、結婚ができない人、向いてない人への無意識の差別やハラスメントをしています。
この説教で、実は、岡村さん自身も社会から「いい年をして女性とまともに付き合えない、結婚もできないダメな奴」と虐げられる側の人だったのだと、わたしはようやく気づきました。
だからこそ、岡村さんはますます女性を敵視したり嫌悪しながら性欲だけ求めてしまっていたのではないでしょうか

この様な人を、有無を言わさず見せしめに懲罰したところで、女性への怒りや恨みや恐怖心をますます募らせるだけで、彼の本質は全く変わらないでしょうし、「結婚などの一般的には健全とされる生き方に正そうとする」事も、とてつもない暴力に感じます。
岡村さんは以前、鬱になって休業していたそうですが、また発症されるかもしれません。

ただ、長年の相方である矢部さんのによる公開説教は、多くの人を納得させ、本人もひたすら謝罪を述べていて、「もうこの件はこれで終わりにしよう」という流れに変えました
それについては、岡村さんのNHKの番組を降板させる署名運動よりはるかに建設的だと思いました。

それでもまだ、振り上げた拳をおろす事ができず、岡村さんにフェミニズムを学ばせようという署名まで立ち上げるフェミニストの石川優実さんに、わたしは強く反対します。
石川さんが牽引するKutoo運動は、パンプスなどの履き続けると痛い靴強要からの解放運動だったはずですが、なぜその中心人物が、フェミニズムを、誰かを懲らしめるために「無理矢理」学ばせようとしたり、レギュラー番組を降板させろなど、他者をクーツー(苦痛)にしようとするのでしょうか。

フェミニズムとは、女性のみならず、あらゆる人の選択の自由や権利を尊重し広げようという思想のはずです。あらゆる選択の自由があるなら、岡村さんの様な社会的に生きづらい人の自由も尊重すべきです。
世界には、宗教的に男尊女卑的慣習を続ける国もあります。自国の価値観や、どれか一つの思想や考えだけが正しいとし、その価値観を押し付ければ、戦争に発展するでしょう。全く異なる相容れない考えの人と、それでも共存していかなければならない、多様な社会とはそういう事だと思います。
たとえ不謹慎で不愉快な発言をした人であっても、性犯罪を犯した訳ではない人を、社会的に困らせるまで追い詰めるのは本末転倒です。フェミニズムを、気に入らない誰かを滅ぼすまで殴り続ける棍棒にしないでほしいです。

追記:
岡村さんを降板させろ署名に賛同し、強く抗議している藤田孝典氏が、ホームレスを安い家賃の家に数人で住まわせ生活保護費を巻き上げる貧困ビジネス疑惑で、さいたま市議会で追及されていたそうで、驚きました。
「懺悔として貧困者の正義の味方になった」のであれば、それは責めるべき事では全くありませんが、藤田氏によるこの件の説明はまだありません。
事実でなければ堂々と説明できるはずだし、事実なら不正横領の償いをすべきです。
岡村さんは謝罪しているのにも関わらず(しかも犯罪でもない事で)、降板を要求。この不均衡は一体なんでしょう。
岡村さんを降板させても貧困者の現状は何も変わらない、とわたしは言いましたが、むしろ、藤田さんの様な人は、貧困者がいないとビジネスにならなくて困るのではないかと思えて来ました。

わたしは、フェミニズムを、この様な人達にもてあそばれるのが、本当に残念だし、強い憤りを感じます。

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